K子さんの武勇伝

西野流呼吸法を知って半年が経った頃でした。勿論、西野塾にはまだ行ってない頃のお話です。気がとおれば痛くないんだってんで、腕の力を抜いて樹木とか壁とかに手当たり次第ぶっつけてました。コンクリーの柱のコーナーとか電柱や標識のポールがもっぱらの標的でした。私達夫婦だけでなしに、うちのスタッフであるKといううら若き乙女もそのメンバーだったのです。
腕の力を抜いておけば、確かに痛くないんです。「応空」の応用ですね。例えば、立ってるものをたたく時には「応崖」をやっている感じですし、机の表面を手の甲でたたく時には「応地」をやっている感じです。手の甲がすこし赤くなるかなと言った感じです。昔の本だかビデオだかにある「対打」もよくやりました。腕が固いと痛いんです。よく固い人をいじめました。反省……
10年前の別府は、まだ夜も遅くまでお店が開いていて、アカデミーも夜の11時まで営業してました。終わってからとなりの喫茶店で一日の反省会?を1時間ほどしてから帰宅してました。でそのうら若きK子さんも、毎日商店街のアーケードをとおって帰っていたのですが、家までのちょっとの間が暗いんです。時期は夏の終りとくれば当然危ない条件はそろっています。
いつものように、ラ・タッタタと家路を急ぐK子の後ろから肩越しに何かを感じた瞬間、あいてる手で顔の横を何気なく払ったんです。ダダット音がして何かが後ろの方にすっ飛んでいき、その先には標識のポールが立ってて、そのものはもろにそのポールにぶつかって、そのまま前にバタンと倒れましたとさ。若い男だったんです。
その前に仁王立ちに立って「何をするき!」と、発したとたん、男は脱兎のごとくに逃げ去ったそうなんです、その場に一言「ごめんなさい」を残して。びっくりしたでしょうねえ、どうとでもなりそうな女の子に、ものすごい力でぶっ飛ばされて、後ろに当たって前に倒れて、仁王立ちされて自分で何がなんだか分からなくて、寒気がしたでしょうね。
翌日はもっぱらその話でもちきりでした。元うら若きマイワイフ・たえさん、「私も、いってみよ……」 なにも出なくてめでたしめでたしでした。