ちょっと不思議な話

呼吸法を始めた頃よりはだいぶ後のことです。ダンスの生徒さんで女性の神主さんがいました。お正月に初詣に行くとたいていそこの神社の御札をもらってきて部屋のどこかへお飾りするというか、適当なところへ置いておくのが普通ですよね。私は、教室の一隅に棚を作っていくつかの御札を並べておいたのです。
何の意味もなく、ただお参りした記念として、飾っておいただけだけど彼女が言うには、それは良くないとの事。次に来た時、小さいお社とそれに付随するセットをプレゼントしてくれました。そして、ここは芸事の場所だから女の天照大神をお祭りするのが良いからと、お伊勢さんの御札をお社に納めて「残りは私がお払いしてから処分してあげます」と言ってもって帰ったんです。そしてこれからは毎日榊のお水を取り替えて上げてくださいとの事、お参りの仕方も教えてくれましたがそれは初めの頃だけで、でも榊の水だけは毎日取り替えました。
徐々に枯れて寂しくなると新しいのを追加していたのですが、暮から正月にかけてはなんでも新しくするから榊もと思ったけれど、正月休みがあるので歳が明けてからにしてということで仕事始めの日に花屋さんに行ったけどこれといったのはもうありません。仕方ないから残り物を適当に買い求めてお飾りしました。なかなかどうしてしたたかな榊で、もつんです、枯れないんです。10日たち、20日が過ぎ枯れる気配はありません。でもさすがに一ヶ月、二ヶ月と過ぎると一本、二本と葉が落ちてさみしくなり残り少なくなったところで新しいのを追加したのが、三月の終り頃か四月のはじめでした。正月からのは捨てるにしのびなくてそのままにして毎日の水の交換だけは欠かさずに続けたんです。
五月になって気がついたんですが、古い榊の枝の先から新芽が出てるんです。根がついてるわけでもなし、本当に不思議な出来事に思えました。ある人はそんなこともあるよというし、またある人はそんなバカなと笑いとばします。結局三本の榊の枝に新芽が出て、しかも普通の葉の大きさに成長したのです。後から追加した枝もなかなか枯れなくて、そのまま夏を迎え、暑い盛りに一本が枯れ、そして夏の終りに一本が枯れ、最後のは十月の声を聞くまでもちました。
それからは早く枯れることもあるけれど、半年以上は十分に持つようになり、長持ちするのはあたりまえで、一月や二月で枯れたら何か水でも悪かったかとか考えたりするようになりました。
今でもそれは続いています。
もう一つ、お神酒をあげておくとそのお酒がむちゃくちゃおいしくなるんです。アルコール分は十分残っていてそれでいてもとの酒より格段においしくなっているので本当に不思議な話です。酒好きが一升瓶を持ってきてコップに入れて神棚にあげて翌日うまそうに飲んでいました。瓶の酒とコップの酒とはまったく別物と言った感じでした。