武勇伝
最近入ってくる人にこんなことをいう必要は無いと思うけれど、「呼吸法を練習すれば人を吹っ飛ばせるようになる」などということを期待するのはおやめなさい。武道や武術と平行して習っているのなら話は別ですが、「気の力で武道家を吹っ飛ばせるようになる」などと考えない方が良い、と少なくとも私はそう思う。
なぜなら、私自身がそういうことを目指してきて、そして、実際に武道家の方たちと西野塾の外で一緒に稽古を重ねてきて、その上でその難しさを知っているから。実際、指導員クラスの人はともかくとして、一般塾生が本気で抵抗する初心者を飛ばすのはまず無理と思う。ある程度相手に呼吸法をやらせて、「育てた」上でやるならまた別かもしれないが。
初期の西野先生には武勇伝が多い。でも、その先生ですら、ある雑誌の取材で「護身術としてはほとんど使えないと思う。なぜなら、襲ってくる相手に基礎的な訓練を施すなどということは無理だから」と語っておられた。
ということで、ここで書くことはただの笑い話と思って読んでください。私は、実際喧嘩になればからきし弱いです。(笑) 逃げ足も遅いです。だから、是非私を襲わないで下さいね。> 暴漢様!
武勇伝1
会社の新人研修にて。稽古歴まだ1年に満たない頃。研修のための合宿先で、相撲部出身の同期生にみんなぶつかってみたがびくとも動かず。私が「俺にやらせて!」と言って胸を片手で押そうとしたら、小柄な私を見くびったのか「絶対無理だよ。体当たりして来い!」と言ったが、無視して対気の要領で片手で押したところ大きくのけぞって危うく転びそうになった。あのときは、自分で自分に驚いた。
武勇伝2
転勤先の九州の工場にて。呼吸法歴、3年目くらいかな。会社の英会話教室が毎週夜開かれていた。若い女性の先生だったのできわめて出席率が高かった(笑)が、或るとき病欠で巨漢の男性が代理で来た。聞いてみるとK真空手の弐段をもっているという。K真の弐段というのは、当時県内に何人もいないハイレベルな武道家だった。毎週1人ずつ残って面接をしていたのだが、その週は私の番だったので、拙い英語で熱っぽく西野流呼吸法のすばらしさについて語った。しかし、彼は聞いた瞬間胡散臭いと思ったのか、「私を飛ばしてみろ」と言い出した。
仕方ないので、夜の工場の会議室で2人で対気(笑)。彼は180cm以上あって、更に腕の太さがとにかく凄かった。力任せに押してきたが、逆にそれを利用して彼の中心に気を返したところ、簡単に2、3歩下がった。さすがに飛びはしなかったが、小柄な私に押し負けたことで彼はひどく驚いた。「私も君を飛ばしてよいか」と問われたので「どうぞ」と言ったが、彼はなんどやっても私を下がらせることが出来なかった。「・・・どうすれば君を下がらせることが出来るんだ?」と逆に聞かれてしまった。
当時、今よりもずっとずっと未熟だったことを考えると、快挙と言えるかもしれない。
武勇伝3
東京にて。友人としこたま酒を呑み、深夜の池袋駅をあるいていると、まあこちらが余所見をしていたのが悪かったのだが、チンピラ風の男に肩がぶつかった。今思えば、相手は因縁をつけるために見えていてあえてぶつかったのだろう。しかし、こちらは何とも無く、相手は一瞬にして視界から消えた(多分、転んだのだろう)。酔っていて、どうなったのか分からないが、その後その男は大声を上げて血相を変えて追いかけてきて、「ゴルァ! 謝らんかい!」と恫喝してきた。
勿論、すぐに謝りました。(笑) それで、何事もなし。
くどいようですが、西野流は武勇伝を誇るためのメソッドではない。それは昔からそうだが、今ではなおさらのこと。以上は単なる笑い話としてお許しを!